ジェスモナイトのストーリーStory of Jesmonite


ジェスモナイト開発当時

FRP樹脂造形材料
ジェスモナイトはFRP用/キャスティング(注型)用樹脂の安全な代替、そしてコンクリートの軽量な代替として、1984年にイギリスJesmonite Ltd.社のピーター・ホーキンスにより開発されました。有機溶剤を使用しないこの水性樹脂は、人体に害が少なく環境にも良い立体造形材料として芸術家/彫刻家の作品制作やアートワーク、また考古学・古生物学のモデル作成などにも30年以上に渡り長く使われてきています。

今までにない分野での可能性

また近年では、これまで使われてきたアートや彫刻、造形といった従来の用途以外にも、建築、プロダクトデザイン、家具デザイン、ホームウェアデザイン、サーフェイスデザイン、アクセサリーデザインなど、新しい分野での活用がされています。

アート素材ジェスモナイト床材

日本でのFRP/注型用樹脂事情

2017年春時点で有機溶剤を使わない樹脂の存在は、残念ながら日本ではまだほとんど知られていません。
立体造形に携わる方々にとって、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などがFRP造形や注型造形時のメインの選択肢であり、そのため通常は充分に換気設備の整った場所での作業となります。また有機溶剤の強烈な臭いにより、周囲への配慮や少なくない身体負担に耐えて作業が行なわれているのが現状です。

欧米ではすでに当たり前のものが、日本ではいまだほとんど知られていない。
こんなに大きな違いはなぜ起きたのでしょうか?

その理由としてはおそらく、欧米では早くから有機溶剤に対する規制が厳格だったため新たな樹脂が開発/利用される土壌が整っていたのに対し、日本では近年までそれがあまり厳しくなかったためと推測します。現在では厚生労働省の規制強化などにより日本でも規制の厳格化が進んでいます。事業所における有機溶剤の危険性および予防規則については下記ページを参考にしてください。
特定化学物質障害予防規則(特化則)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47F04101000039.html

安全な注型/FRP用樹脂

ジェスモナイト、日本へ

私たちの技術担当者は長年アーティストや企業の方々に樹脂をはじめとした造形素材の選定サポートを行ってきました。プロジェクト毎に形状、質感、求められる性能、条件、予算などのあらゆる条件を加味して、どのように作るかの方法相談から最も適した造形素材をご提案までをしてきました。
そんな中、数年前にイギリス帰りのある作家の方からジェスモナイトのことを聞きました。有機溶剤を使用しない樹脂で安全に簡単に扱えるうえ、十分な強度もある、こんなにも素晴らしい素材があるのかと衝撃を受けました。水性樹脂に大きな可能性を感じて以来、日本国内での水性樹脂の購入先を探しましたが発見できず、材料メーカーの方と共に水性樹脂の開発にも取り組みましたが求める性能にはなりませんでした。
そして2016年12月、ジェスモナイトの日本販売、Jesmonite Japan Distributionを始めました。

ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などといった各樹脂には、それぞれに優れた特徴と特質があり、その樹脂でしかできない素晴らしい表現があります。しかし健康上の理由や不安から樹脂を使った立体造形を断念された方や、将来の健康に不安を抱えながら今も作業をされている方。有機溶剤の臭いなど周囲への配慮も含めた制限の多い条件下で、苦心しながら作業をされている方。そういった方々にとって、ジェスモナイトが役に立つかもしれません。
また水性ということもあり、今まで樹脂経験がない方でもジェスモナイトなら手軽に扱うことができます。
アーティストと社会とをつなぐ方法の一つとして作家によるプロダクト制作・販売がありますが、大規模な投資や設備がなくても小~中ロットの手作業生産が可能になります。そして金属のコールドキャスティングや塗装なしでの石調表現など、これまでのポリ樹脂とは違う幅広いテクスチャー・サーフェイス表現。例えば3Dプリンタと連携として原型や型を3Dプリンタで出力し、そこからジェスモナイトで複製、もしくは素材の置き換えといった使い方もできます。

ジェスモナイトはアーティストやクリエイターの皆さんに新しい可能性を提供します。そう遠くない日にMADE IN JAPANの優れたジェスモナイト製アート/プロダクト作品に出会えることを確信しています。

日本のアートワーク紹介はこちら

JESMONITE JAPAN DISTRIBUTION
シィアンドビィ株式会社

アクリル複合樹脂ジェスモナイト作業風景