キャベツを型取りしたシリコン型へのガラス繊維張り込みデモは、混合時の臭いや粘度など、参加者の皆さんは熱心に観察・確認されていました。
垂れにくくするためチクソトロープ(増粘剤) を添加しています。今回は手混ぜでの攪拌と、ミキサーによる攪拌の両方を試しています。
シリコン型にジェスモナイトをブラシで塗布、細部まで液が入るように力強く筆をこすりつけるようにしながらゲルコート層を作っていきます。一旦硬化を待ったのち強化用のガラス繊維を張り込んでいきます。
ジェスモナイト四軸グラスファイバー はしなやかで柔らかく、ほとんどフリーのガラス片が出ない作りをしているため、従来のガラスマットとは全く違った安全性と快適さが得られます。
またジェスモナイトを使ったFRPの場合、ゲルコート層以降は硬化を待たずに一気に何層も張り込むことができるため、作業スピードと取り扱いやすさの面でメリットとなります。
1層目:350g(リキッド100g + ベース250g)、増粘剤添加。
2層目:300g(リキッド86g + ベース214g)
FRP実演後は自由にジェスモナイトを触って頂き、注型、カラー、AC100と200の切削性の違い、メタルフィラーの磨き処理など、素材の可能性や使い勝手をしっかりと確認されていました。
カリ石鹸の2回塗りでも離型しますが、あまり離形性はよくありません。
専用の液体水性離型剤や、カルナバロウ離型剤があります。
ジェスモナイトオンラインショップで販売中の離型剤:
カルナバロウ離型剤
液体離型剤DWC
※ワックス系は全般的に離型剤として機能しますが、有機溶剤成分を多く含むものはジェスモナイト表面が侵されてしまうため要注意です。表面が多少あれてても問題ないケースでは、離形性の良さやコスト面で優れるリンレイの床用ブルーワックスなどでも離形します。
なおPVA系の離型剤(Sクリア、Sブルー等)は、水性のジェスモナイトに対しては機能いたしません。
石膏割り出しの際には、ポリエステル樹脂と違って弾性がなく硬化時収縮もほとんどおきないため、ポリと同じ感覚で割り出し作業を行うと、中身が破損する危険性があります。
本説明会の参加者は全員女性の方でした。従来のFRP用樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)に含まれることが多いスチレン、この物質で懸念されるリスクは女性の場合特に注意が必要なため、安全な素材を知っていただき、素材の選択肢が広がっていくことを願っています。(スチレンについての詳細は、厚生労働省 母性保護のための女性労働基準規則 )
また今回は、FRP用樹脂の危険性の調査および安全な彫刻用新素材の研究をされている岡野 茜様(東京学芸大学研究員)にも特別にご参加いただきまして、研究者として・作家としてのご視点から様々な意見交換をさせて頂けたことに心より感謝申し上げます。
作家・彫刻家の皆様にとって、表現のリミットを取り除くことができる新たな選択肢として、より安全に扱える立体造形素材として、私たちは素材面からアートにかかわる皆様を支えていきたいと思います。
女子美術大学 立体アート専攻
・藤倉 久美子 様
・野原 昌代 様
・いしばし めぐみ 様
・女子美術大学立体アートの学生の皆様
・特別参加:岡野 茜 さま
ご参加ありがとうございました。
2018/1/22