ジェスモナイトの特長と用途、そして基本的な使用方法・注意点の説明を行い、その後にFRP張り込みのデモンストレーションを行いました。全員FRP作業経験をお持ちとのことで、ゲルコート作成およびグラスファイバーの張り込みを行う工程は、実際に学生さんに交代で作業をしてもらうこととなりました。
一通りのデモンストレーションを終えた後は、ワークショップ形式で着色剤やシリコン型を自由に選んでいただきジェスモナイト注型を体験していただく時間を設けました。好奇心旺盛な港南高校の学生さんは非常に呑み込みが早く、使用量の計算などを友人同士で教え合いながら積極的に手を動かしていました。頂いた質問と回答の例を以下に少しご紹介いたします。
Q:リキッドとベースを混ぜる際は、どちらに入れたらよいですか?
A:リキッド側にベース(粉)を降り入れます。投入時にはできるだけ気泡が入らないよう静かに混ぜながら入れてください。リキッド側に投入する理由は、気泡を入りにくくするためです。
Q:着色剤はどの程度入れたらよいですか?
A:ジェスモナイト側の重量に対して、最大で2%までの量を添加可能です。(例:100gのジェスモナイト液に対して、着色剤は2gまで。)この量を超えて添加した場合に、硬化遅延(量が多すぎる場合は硬化不良)、強度低下につながります。
作業中は終始高校生らしい賑やかな会話が飛び交っていましたが、その内容は「普通の樹脂を使っている時に誤って手に付いてしまうと大変痛く、急いで洗う必要があるのが辛かった」など、なかなかシビアで切実なものでした。
シリコン型やPET型への注型の他、メタルフィラー(金属粉) 入りジェスモナイトをスチールウールで磨いて光沢出し、薬品を使った金属の酸化テストも少し行いました。新しい素材、新しい手法に目を輝かせながら取り組むんでおられた学生の皆様。
今回のワークショップが、彼らの引き出しを一つでも増やせたことを願っています。
先生方は生徒さんがまだ学んでいない技術がでてくると丁寧に補足説明をし、技術的に大切なポイントではしっかり声をかけたりと、きめ細かく指導されている様子が伝わってきました。
今回参加してくださった先生お二方は、黒川先生、そして昨年までここで教えられていた貴志先生。お二人とも現代美術作家として精力的に活動をされながら学生の育成にも取り組んでおられます。少しお話を伺ったところ、今の教育では高校までの美術で学ぶことと、美術大学に入ってから求められる表現との差があまりに大きすぎるため、それを少しでも埋められるような教育をしていきたい、とはいえあまり技術力を上げ過ぎると柔軟性を失いやすく大学に入ってからの創造力が妨げられる可能性もあるなど、バランスに配慮しながら大変熱心に高いレベルで指導されていることが伝わってきました。
ワークショップ終了後は学生さんの「ありがとうございました!」の清々しい挨拶に見送られ学校を後にしました。
参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。
大阪府立港南造形高等学校様 :
・現代美術作家/教員: 黒川 彰宣 様
・現代美術作家/教員: 貴志 真生也 様
・黒川様、貴志様が出展された展覧会/現代アートフェア「G-tokyo」
http://www.gtokyo-art.com/2013/exhibitingArtists.html
2017/6/3