東京造形大学様にご用意いただいたシリコン型への張り込み。時間の都合上、今回は半面のみとなりました。
まずはベースとリキッドをそれぞれ計量して混合します。適度に粘度を上げるためチクソトロープ(増粘剤) を添加してさらに攪拌します。
その後シリコン型にジェスモナイトをブラシで塗布、シリコンにジェスモナイトがはじかれるため、少し粘度がある方が塗布しやすくなります。細部まで液が入るように細かいところは筆でパッティングしながらゲルコート層を作っていきます。(通常はここで硬化するまで待ちます。)
続いて強化用の繊維、今回はジェスモナイト用の四軸ガラス繊維を使用した張り込みを行います。この四軸グラスファイバー は少し高価なのですが、繊維を短冊にカットせずに1枚そのままで使うことができる優れものです。ブラシ等で型に押し付けていくことで柔軟に型に沿わせることができます。これには先生方も意外な様子でした。
20分ほど置いて型から外します。(今回はすぐに外しましたが、本来は1時間ほど置いてからの方がより破損しにくいです。)
駆け足で作業をした割には、細部まできれいに取れていました。実際に2面を貼り合わせる時には、はみ出たグラスファイバーをカットし、6mm チョップ を混ぜたジェスモナイトを盛って接合します。それにしても大変愛らしい造形ですね。
作業中も作業後も、本当にたくさんの質問をいただきました。
頂いたご質問から一部抜粋してご紹介します。
Q. 石膏型の場合、離型剤は何が良いですか?
A. 通常と同じくカリ石鹸で大丈夫です。有機溶剤が混ざったワックス離型剤は、ジェスモナイトが不良硬化を起こす可能性があるので不可です。※2018/2/7修正:カリ石鹸でも離型はしますが、よりよい離型が得られるものとして、カルナバロウワックスの離型剤をお勧めしています。なお有機溶剤が入ったワックス離型剤には注意が必要ですが、一概にNGではなく、含有量などによって許容できる成果が得られます。PVA系は機能しません。
なお石膏割り出しの際には、ポリ樹脂と違い弾性がなく硬化時の収縮もないため、同じ感覚で作業をすると破損の危険性があります。
Q. ガラス繊維などの補強材は何でも良いのですか?
A. 強度を求めるならファイバーグラス、強度を求めず塗布時に均等に厚みをつけるためであればガーゼ等の布など、目的に応じて使っていただけます。なお、それほど大きくない鑑賞用作品であれば1プライで問題ありません。
Q. (石膏像ブルータスの頭部のみのジェスモナイトFRP1プライサンプルを見て)これを作るのに何キロくらい使いますか?
A. 大体2㎏程度です。実物大の人間の頭部なら、AC100 3.5㎏キットで2個くらい作れると思います。
東京造形大学様のカリキュラムやキャンパスを拝見して、基礎となる造形技法をしっかりと学び、高い造形力を身に着けることができる場所なのだろうと感じました。彫刻科棟には授業で作られたと思しき多くの人体塑像が並び、作業場はきちんと整理整頓され、先生方の新しい素材へのキャッチアップや安全への意識も高く、学生の皆様が集中して学べる環境が用意されていました。ジェスモナイト ジャパン ディストリビューションは、アーティストの皆様が有機溶剤のような有害物質をできるだけ使わずに安心して樹脂立体造形に取り組めるよう応援していきます。
東京造形大学 美術学科 彫刻専攻
ご参加いただいた先生方:
・保井 智貴 先生(当日急用のためご欠席)
・宇多 花織 先生
・土屋 裕二 先生
・塩野 太朗 先生
ご参加ありがとうございました。
2017/3/18