前回京都開催と同様「コースターを作る」というお題を通して、テクスチャを型取り→流し込み用のモールド(型)を作成→ジェスモナイトを流し込んで複製する、という実験制作を行いました。型制作とジェスモナイトの基本的な扱い方を学び、物の持つ質感やサーフェイスの面白さを発見します。
さて、ではワークショップをステップごとに振り返っていきます。
使用素材と作業工程についての説明。
今回の工程でアルギン酸塩を使う理由、実際のプロダクトではシリコン型が使われることが多い理由など簡単に説明させて頂きました。アルギン酸塩、ジェスモナイト共に、液の柔らかさや混ぜ方など実演を交えて説明をします。
なお今回のワークショップは、WonderLAB様によりfacebookライブ配信も行っていただきました。
ワークショップに使用したスライド(一部内容を変更しています)
ジェスモナイトワークショップ@Wonder LAB Osaka
さていよいよ実践開始、モールド(型)を作る工程です。
樹脂を使って制作をしようとした際、まず最初に「型を作る」という作業がハードルになりがちです。
型の作成はじつは色々とコツやノウハウの必要な部分ですので、今回のワークショップではできるだけシンプルに短時間で作れて、かつ創意工夫を入れやすい方法をとりました。
型取りするテクスチャは、石、プラスチック、布、葉、木、レンガ、スポンジの他、クッキーやキャベツなどの食品も用意し、自由に選んでもらいます。(さすがに豆腐は誰にも使っていただけませんでした。)
参加者の皆さんも、面白いサーフェスを持つ色々な素材を各自持ってきてくだっていました。
アルギン酸塩(アルジネート)は、硬化前は柔らかくベトベトしており、パレットナイフで上手に型の表面に塗れるようになるまで、1,2回練習が必要です。薄く延ばし過ぎてしまうと、アルギン酸塩が固まって剥がすときに破れやすく難しくなってしまいます。型取りに取り組んでいる時の皆さんの表情が童心に返ったように楽しそうだったのが印象的でした。
次はジェスモナイトによる流し込みの工程です。
ジェスモナイトAC100のリキッドとベースを規定量の通りに計量し、混合して注型します。
カラーは無着色、もしくは、鮮やかなブルーの2種を選択して頂きました。
ここでワンポイント:アルギン酸塩は硬化後も保水している素材です。ジェスモナイトで濃い色を出そうとする場合、アルギン酸塩の型から染み出してくる水分が影響して、型に接していた面が白っぽくなり、形状もややぼけてしまいます。
濃い色を使う場合は水分のない型(例えばシリコン型や、型取り用粘土)を使うと美しくしまりのある発色が得られます。
今回の参加者さんの中に、卒業制作をジェスモナイトで制作する予定の京都工芸繊維大学の学生さんが参加されていました。様々なジェスモナイト製プロダクトの製法を調べて、実際にその製法で習作をつくり、素材の可能性と研究を重ねて最中とのこと。いくつか彼が制作したサンプルを見せて頂きましたが、その行動力と情熱とに技術スタッフたちも感心しきりでした。
また、物質の詳しい特性を知りたいという方もおられて、圧縮強度や引張強度等のテクニカルデータをご紹介しました。
樹脂に関連した仕事をされている方、デザイナーさん、教員の方など、色々な方にご参加いただきました。
皆さん時間ギリギリまで色々と試したり交流されたりと楽しんでいただけて嬉しく思います。
今回のワークショップにが、参加者の皆様ご自身のお仕事や制作に何らかの形で活きるタイミングがあることを心より願っています。ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!
開催日:2017.10.18
エリア:大阪
会場:Wonder LAB Osaka (panasonic)
参加費用:3,000円(税込)