2023年10月17日~2024年1月8日、京都蔦屋書店にて開催の菅原玄奨「菅原玄奨 展」。
百貨店を抜けた書店のショーケースに展示されているのは、ジェスモナイトが使用された「object 1」。
その洗練された造形は樹木のようですが、燃え盛る炎のような力強さも感じさせます。
Photo by Soichiro Ishida
後ろに回り込んでみると、意外にも平面的なことに驚かされます。
そしてふと隣に目を移すと、そこには猫背でどこか虚ろな人物が佇んでいます。
見れば見るほどどこか既視感を覚える感覚。街を見渡せば、似たようなファッションに身を包む現代人の姿で溢れかえっている。これは誰かであり、あなたであり、私なのでは。
背筋に少しの寒さを感じながら隣のショーケースに移動すると、今度は首像が二体並んでいます。
菅原玄奨さんの手つきをそのままなぞることができそうなフォルム。極限まで記号化された造形は立体でありながら二次元的な印象を感じさせます。
まるで個を奪われた彫刻。タイトルの「mob」に思わず納得してしまいます。
私たちは普段どれほどの解像度で他者を理解しているだろう。私はどれほど他者に私として認識されているのだろう。
ショーケースの中に並べられた、彫刻でありながら二次元的な存在。じっと見ていると、ショーケースを挟んで行き交う人々との境界も曖昧になるような感覚を覚えます。