山内幾郎さんの個展は2023年11月27日~12月9日の期間、銀座のギャラリーQにて開催されました。本ギャラリーでの個展は2021年以来の2年ぶりとのこと。
時間の断片に刃をいれたような立体作品たちは、見れば見るほど巧緻な佇まいでした。
パネコートの上に離型剤を塗り、細かく下書きをして、その上のひとつひとつの模様がジェスモナイトAC100を使って描かれています。
板状になった何枚もの絵を組み立てて、この不思議な形が出来上がっています。
この気の遠くなるような細かな模様、そしてそれぞれの部分には綿密に調色されたジェスモナイトが乗せられていきます。もちろん短期間で終わる制作ではなく、描いている間は心身ともに疲労する期間でもあったとのことです。
ジェスモナイトの特性として、環境や人体に優しく室内でも扱いやすい、という点があります。
普段は学校で教鞭をとり、授業後の限られた時間に制作をされている山内さんにとって、その扱いやすさは制作の助力になったと仰っていました。
水面の揺らぎや植物の影は、山内さんご自身が撮った写真が元となっています。
こちらの「DRIFT fig.4」だけでなく、実際に山内さんが撮られた日常の写真をもとに作られたものが多く展示されていました。
DRIFT fig.2(2023) W13 × H25 × D12cm
DRIFT fig.3(2023) W13 × H25 × D12cm 2023
DRIFT flg.1(2023) 80W × H170 × D60cm
光のような速さを感じる側面に対して、切り抜かれた風景の佇まいは刹那的でありながら、実際に自分がその景色をボンヤリと眺めている気分にもなります。
元となった写真の時間と、制作にかけられた長い時間をまとめて吸い込んだような魅力を感じました。
個展の様子は動画でも見ていただくができます。こちらからご覧ください。
そしてまた山内さんの個展が開催される際には、ぜひ直接作品を目にしていただけたらと思います。