静岡県 伊東市にアトリエを構える、アーティストの村山大明さん。
2026年春のオープンアトリエに訪れた際には、3-Draw シリーズのさまざまな生き物たちが集い、制作の地へと迎え入れてくれました。
海と山に囲まれた土地が、村山さんの制作との調和をも感じさせてくれる空間です。


こちらも、オープンアトリエの一角でのんびりとした姿を見せた 3-Draw シリーズの「GIANT SALAMANDER」。
のっそりとした厚みのある体が可愛らしく、見入ってしまいます。
村山さんの手によって綿密に書き込まれたペン画は、平面と立体を組み合わせた作品として立ち上がり、線が命を持って飛び出したかのような迫力が感じられました。
この他にも、熊、イノシシ、鮭、倒木に根を張る苔たち…。
さまざまな自然界の生き物たちが、ジェスモナイトAC100を使用して制作されていました。
▼3-Draw series”GIANT SALAMANDER”

▼3-Draw series ”RACCOON DOG”

▼3-Draw series ”BEAR”

村山さんのドローイングアートは「自然との調和」をテーマに制作されています。生まれ育った京都市南丹の自然の思い出が、表現のルーツになっているのだと話してくださいました。
生き生きと姿を現す動植物たちは、山に生息している種のリアリティを背負ってこちらを見ています。
自然と人の調和、平面と立体が調和した作品との出会いは、鑑賞者と作品との調和へと繋がってゆきます。
ジェスモナイトを使用した立体制作では、発泡スチロールを削って形の土台を作ります。
その上にジェスモナイト、ガラス繊維を重ねて積層し、強度を出していきます。


さらにジェスモナイトのパテ盛りと研磨を繰り返して、最終的な形を調整していきます。
形が完成したら、白を際立たせるためアクリル絵の具を塗布しています。

発泡スチロールの上から石粉粘土を使用することもありますが、大きめの作品はジェスモナイトAC100が多く使用されています。
より大きく、自立の必要があるものは強度が必要となるためです。
下地が乾燥したら、ペン画の描きこみへ。すでに背中からお尻への毛並みが出来上がりつつあり、撫でたときの感触が想像できるような後ろ姿です。

最後はアクリリックシーラー(水性コーティング剤)を塗布して仕上げられます。
▼3-Draw series ”DEER”


全てモノクロで描かれる村山さんの作品ですが、緻密な描きこみからは躍動感すら感じられ、その印象はとても鮮やかなものでした。

ペン画作業の際、下書きはせず、思いついたものをどんどん描き足していくといいます。自分自身が最後まで楽しんで制作できるように、手の動くままに完成へと進んで行くのだそう。
そのライブ感と、細やかな作業へ向き合う制作とが、作品の生命力に繋がっているのかもしれません。
また 幼少期から「虫の視点」で自然を観察していたという村山さん。より間近で自然の生命や造形美と向き合ったことが、細やかなペン画での表現となり、まさに動植物の群像図といえる作品の数々を生み出しています。
切り株に生えたキノコ、倒木、苔の広がる地面など、動物たちを取り囲む森そのものまでも表現されており、自然の造形美やパワーを思い出すきっかけとなります。
自他共に、少しでも自然のことを考える時間を増やす機会になればという村山さんの願いが、作品を通して感じられる空間でした。

