最初の説明タイムは、ジェスモナイトを使用して作られた質感の高い彫刻/プロダクトデザイン/建築作品の紹介や、ジェスモナイトの基本使用方法、ポリエステル樹脂と比較した場合のメリット・デメリットの説明などを行いました。
続けて、シリコン型へのジェスモナイトFRP実演です。
・ジェスモナイトAC100
・チクソトロープ(増粘剤)
・QUADAXIAL FABLIC(四軸ガラス繊維)
シリコン型を使う場合はシリコンの嫌水性に注意が必要です。シリコンは水を弾くため、粘度を上げていない生のままのジェスモナイトを使用すると、しっかりと塗布しても、硬化するまでの15分の間に、液がはじかれて一部に穴が開いたり、垂れてくる場合があります。このため一層目を塗布する際には、チクロトロープ(増粘剤/タレ止め剤)をジェスモナイトに添加することで液の粘度を上げて、粘りのある状態で塗布することで、斜めの部分でも流れ落ちてこず、シリコンに弾かれにくい、しっかりとしたゲルコート層を作成することが可能です。
張り込み用のグラスファイバーには専用繊維があり、従来のガラスマットと比較して断面が極端に少ないため安全で不快感が少なく、非常に扱いやすくなっています。専用ではなく、一般的なガラス繊維も使用することが可能です。強度があまり求められない場面ではガーゼや麻布等のガラス以外の繊維も選択肢となりえます。
電動ドリルに専用ブレードを取り付けての攪拌
1層目:350g(リキッド100g + ベース250g)、増粘剤添加。
2層目:300g(リキッド86g + ベース214g)
硬化後の感触を確かめる皆さん
サンプルをじっくり観察
その後は自由にジェスモナイトを触っていただく時間で、注型、カラー、AC100と200の切削性、メタルフィラーの磨き処理など、素材の使い勝手を実際にご確認いただきました。
本デモでは中学・高校・専門学校・大学での美術教育に携わられている教員の方に多くご参加いただきました。
学校教育の場で素材を使用する場合には、製作者本人が自身の責任において素材を使用するのとは違ったレベルでの安全管理・配慮が求めらる事となります。そしてその影響からか、FRPを使用した授業を一切中止する、といったケースも全国的に散見されています。
ジェスモナイトは特定化学物質障害予防規則(特化則)で指定されている特定化学物質を含まない安全な水性樹脂です。ジェスモナイトを使用することでFRP成型方法の授業の継続が可能となり技術伝承の機会を提供できること、そしてFRP用樹脂の代替としてだけではなく、質感の多彩さや成型方法の幅広さを活用して、これまでにない新しい立体表現教育が生まれることに期待しています。
より安全で新しい美術教育のため、今回のデモに際して多大なご協力を頂きました二上先生、藤本先生、花輪先生、更科先生に厚く御礼申し上げます。
・彫刻家・北海道教育大学岩見沢校 二上 正司 様
・彫刻家・札幌大谷大学芸術学部美術学科 藤本 和彦 様
・北海道教育大学札幌校 花輪 大輔 様
・北海道教育大学附属釧路中学校美術科 更科 結希 様
ご参加いただいきました皆様ありがとうございました。
2018/2/11