聞いてくださった方からは、削り作業の感覚、保管、廃棄方法など、具体的なご質問を数々頂きました。マスターモデルやプロトタイプの制作などでの使用を検討されてのこと。ポイントになるのは塗装の部分になりそうです。基本的には水性のサーフェイサーを吹いた後、水性の上塗りとなりますが、用途や仕上がりによってやり方を変える必要があります。
ジェスモナイトのラインナップには、マスターモデル制作用のAC200 という製品があり、硬化後に削りやすく設計されておりCNCなどのマシニングにも対応しています。今後の制作現場での活用方法に期待しています。
ポリエステル樹脂やウレタン樹脂での作業にはどうしても危険が伴うため、ジェスモナイトの安全面というメリットが教育の現場では特に大きいというご意見を頂きました。その他『保管庫から樹脂を持ってきて、作業中の換気などの注意、そしてまた保管庫への片付け』といった一連の用意が意外と手間であり、教室に素材をそのまま置いておけるのであれば思い立ったタイミングですぐに制作ができてよいとのご意見を頂戴し、確かに日々の作業において小さな手間の削減は意外と大きなメリットとなるのかもしれないと感じました。
ピグメントの添加は重量に対してMAX2%までとなりますが、ほんの少量の添加で鮮やかに発色する様子に、驚いていておられました。蛍光顔料を混ぜるとポップな仕上がりになるためアクセサリー制作等を行う学生さんにも良さそう、とのご意見がありました。
丁度近くにあった3Dプリンタの土台部分の破材パーツを混ぜ込んでみる実験をしました。今後CMTEL様にある素材と組み合わせて実験をされたら、きっと面白い効果が生まれるのではないかと私たちも大変楽しみにしています。最近は3Dプリンタをはじめとしたデジタルによるものづくりが大変盛んですので、デジタル出力された原型と、天然素材的な風合いでアナログな物質感を持つ素材ジェスモナイトと組み合わせは、面白い可能性を大いに秘めていると思います。
作業中、色々とご質問をいただきました。
頂いたご質問から一部抜粋してご紹介します。
Q. ピグメントを混ぜるタイミングは?
A. リキッドの方にピグメントをあらかじめ混合しておいてから、ベース(粉)と混合することで均一に混ぜることができます。テストピースのような少量の場合は、ベースとリキッド混合後にピグメントを添加してもそれほど問題はありません。
Q. 削ることはできますか?
A. リューター、彫刻刀などで削ることができます。なお削る際には硬化してから間もない方が、柔らかくて削りやすいです。またタルク等をあらかじめ混ぜておくことで、あえて強度を落として、削りやすくする方法もいいと思います。削りをメインで行う場合は、AC100よりも、削りを前提に設計されたAC200 が適しています。
デモの後、多摩美術大学様のキャンパスや研究室をご案内いただき、教室の雰囲気や設備の数々を拝見しました。メディア情報では本格的な撮影用機材のある撮影室から、電子工作室、木工の作業場まで幅広い内容を含む学科にふさわしく様々な設備がありました。またプロダクトデザインでは、熱溶解積層方式、光造形方式、石膏体積型など様々な種類の3Dプリンターが無数にあり、大型のレーザーカッターや、CNCなどのマシンが所狭しと並んでいる様子に、デジタルによるモノづくりがこんなにも学生さんの制作現場に根付いているのかと驚きました。しかし一方でベースとなる基礎の造形力をつけるための、石膏や粘土などを用いた手作業の演習も1,2年次にしっかりと行われているとのことでした。デジタルは道具であり、手法なので、しっかりとした基礎を持った人が扱うことで良い作品が生まれるのだろうなと思います。
お会いした学生の皆さんはそれぞれ大変個性に富んでおり、作っている作品を見せてくださったり、ジェスモナイトに関しても「水性樹脂?なんですか??」と興味津々で説明を聞いてくださり、新しい素材への好奇心、制作に対し前向きに取り組んでおられる様子を垣間見ることができました。
デモと施設見学の後、情報デザイン学科メディア芸術コース教授・メディアセンター所長である久保田晃弘先生と少しお話をさせていただく貴重な機会をいただきました。メディアアートの世界を代表するアーティストとして活躍しながら、多摩美術大学の情報デザイン学科の立ち上げから今までずっと多摩美で教鞭をとっておられる先生です。人工衛星を打ち上げるなどの壮大なプロジェクト をされていた方なので、いったいどんな先鋭的な方なのかとすこし緊張していましたが、実際にお会いしてみると物腰柔らかく穏やかで優しい先生でした。他のジャンルと比べまだ歴史が浅く、日々技術は革新されボーダーレスに拡大を続けるメディア芸術の世界。様々なことをやろうとする学生さんを指導するというのは大変なことですねという問いかけに、学生がやりたいアイデアや想いを「一緒に考えていく」という姿勢でいいと思っています。と当たり前におっしゃた姿に懐の深さを感じました。
ジェスモナイト ジャパン ディストリビューションは、学生の皆様が安心して立体造形に取り組んでいけるよう素材面から応援していきたいと思います。
お話を聞いていただいた多摩美術大学の先生,スタッフの皆様:
・多摩美術大学CMTEL
・和田 達也 教授
・久保田 晃弘 教授
・尾形 達 様
・佐藤 美乃里 様
・小井沼 桃 様
ご参加頂きありがとうございました。
そして本説明会にご尽力頂きましたCMTEL馬場様と朝倉 卓也 様に、心よりお礼申し上げます。
2017/4/26